
昨日は技術書典19のオフラインイベントでした。2年ぶりのブース出展は久しぶりにお会いした方や新しい出会いもあって、とても有意義なイベントでした。運営の皆様、本当にありがとうございました。
今回の技術書典では新刊『ランニングプログラマー』を出しました。前回の技術書典で出そうとしたのですが、諸事情で出せなかったものです。今回は構成も見直して大幅な加筆修正をしました。といっても、8割ぐらいはできていたので、「すぐにできるだろう」と高をくくっていました。
ところが、余裕をもっていたはずが、なんだかんだ言い訳をつけてすぐに着手せず。印刷所に入稿する締切ギリギリで着手しはじめることになったのです。
「すぐにできるだろう」と思っていたけれども、全体的な校正が十分できておらず、読み進めていくと話の流れが急すぎると感じました。急遽、章を分けて加筆することに。また、途中でコラムとAppendixを追加したりと、時間が経過するほど、時間がないのにどんどんアイデアが湧いてきて、いつまで経っても執筆が終わりません。まさに典型的なスコープクリープですね。
本業に加えて、11月はフルマラソンの本命レースを控えているなかで、合間を縫っての執筆は時間的にも精神的にも余裕が持てませんでした。家族にも迷惑をかけてしまいました。
それでもなんとか1冊の本として書き上げられたのは、「入稿の締め切りを守る」ためです。遅れてしまうと相手に迷惑をかけてしまう。この強制力が私を前に進ませてくれました。
自分ひとりだけの締め切りや約束だったら、きっと破っていたでしょう。人の意志は弱いものです。自分との約束さえ破らずに貫いている人もいるかもしれませんが、私はそうではありません。今まで散々、自分との約束や意思に負けてきました。
締め切りは、何か物事、しかも重いタスクや成し遂げたいことを前に進めるには最適です。締め切りがないとズルズルと先延ばしにしてしまい、いつまで経っても実現できないでしょう。締め切りを定めることで、達成可能な目標となるのです。
さらには、それが自分だけでは変更不可能な、強制力があるものだと理想的です。敵前逃亡は許されず、歩兵のようにただひたすらに前へと進むだけとなります。
マラソンの例になりますが、私が初めて参加したマラソン大会はハーフマラソンでした。友達と一緒に申し込んだことで逃げる(DNF; Do Not Finish)ができなくなり、完走にむけて練習せざるを得なくなりました。もし一人だったら、申し込み自体を先送りにしていたでしょう。
何かを変えたい、自分を変えたいと思ったなら、不可避な状況へと自分を追い込むことです。人間は基本的に現状維持を好む生き物です。だからこそ、外部からの強制力を味方につける。締め切りや他者との約束という「逃げられない仕組み」を作ることで、自分の意志の弱さを補完できるのです。
これはソフトウェア開発でいうところの「制約駆動設計」に似ているかもしれません。制約があるからこそ、その中で最善の選択をする。締め切りという制約があるからこそ、限られた時間の中で本当に必要なことに集中できる。そう考えると、締め切りは敵ではなく、むしろ味方なのかもしれませんね。