今日の内容はやや重いかもしれませんがご容赦ください。なお、病院で診断はされていないため、正式な診断結果ではないことを冒頭に述べておきます。
数年前にNHKの記事でAPD(聴覚情報処理障害)が紹介されているのを拝見したのがきっかけです。記事は削除されてしまったので別の記事をリンクします。
めっちゃわかる!首がもげるほどわかる!読めば読むほどまさに自分のことだと思いました。
“聞こえているのに 聞き取れない”
まさにその通りで、いつも聞き取れないわけではなく特定の条件下において聞き取りづらくなります。例を挙げると、
- 騒がしい場所での会話
- 例:人が多い街中、BGMがかかった店内、勉強会後の懇親会
- 初対面、特に電話応対が苦手。知らない相手から予測つかないことを言われたり聞かれたりするのが恐怖
- 急に話しかけられると話のはじめが聞き取れていない
- 話が長いと途中から内容が頭から抜けていく
- 議事録が苦手。聞き取りながらメモができない
- 文脈を理解していれば推測できるのでかろうじて大丈夫
- 声量が小さかったり、声が通らない、ボソボソ声、早口の人は聞き取りづらい。逆に声が通る人のはめっちゃクリア
- 予測不能かつ突然の指示に弱い。とあるカンファレンスの当日スタッフやったけど精神的につらかった
- ファミレスの接客バイトをやったことがあるけど、ワンパターンかつメニューを覚えていればおおよそ問題なかった。キッチンホールだったらたぶんダメだった
- 英語のリスニングが大の苦手。日本語でも聞き取れないのに…
- 何度も聞き直すけど聞き取れず結局あきらめる
APDという存在を知ったときに今まで抱えていた違和感の正体がわかって安心しました。ただ、そのときは安心しただけで特に行動はしていませんでした。
昨年の10月に「マンガでわかるAPD 聴覚情報処理障害」という本が出版されるとTwitterで知り、この機にちゃんと理解しておこうと思ったので読んでみました。
法研 (2021-10-14T00:00:01Z)
¥3,520 (コレクター商品)
APDとは
APDはAuditory Processing Disorderの頭文字をとったもので、日本語で聴覚情報処理障害と呼ばれています。聞き取りづらさはあるのですが、聴力に問題がないことが特徴として挙げられます。APDは音を感じるときではなく、音声を脳で処理する際に生じる症状とのことです。なので私自身、今まで健康診断などの聴力検査をしても異常が発見されたことがありませんでした。
聞き取るとは?
聞き取れるとは一体どういう状態なのでしょうか。本書によると、聞き取る行為は「耳が行う仕事(音として認識する」と「脳が行う仕事(音の情報を脳内処理する」に分かれます。ここでは後者を取り上げます。聞き取るために脳は以下のはたらきをします。
- 注意を向けた音だけを大きくして聞き取る(カクテルパーティー効果)
- 集中して聞き続ける
- 語彙力
- ワーキングメモリ。情報を一時的に記憶しながら考えたり情報の取捨選択をする
- 推測力。聞き取れない部分を推測して補う
これらのはたらきが正常に行われなかったり、はたらきに偏りがある場合に聞き取りづらさとして症状がでます。
今の生活ではどうなのか
学生時代は聞き取りづらさは自覚していましたが、実生活で困ったことがほとんどありませんでした。先ほど触れたアルバイトもなんとかこなしていましたし、授業も聞こえづらさがあったものの教材で補うことができたためでした。
一番つらかったのが社会人1年目です。新人はエンジニア職だろうが全員電話応対しなければならなかったのですが、知らない人からの電話応対が本当に苦手で何度も聞き直して先方から怒られたことが何度もありました。なんとかして聞こうとするのですが、焦ると余計に聞き取りづらくなってしまうので負の循環でした。
今はコロナ禍の影響でほぼリモートワークです。リモートワークになったことで個人的にやりやすくったと感じています。例を挙げると
- 基本的にSlack(チャット)で文字中心
- オンライン会議では、音量を自分で調整できる。資料を見ながら聞けるので理解できる
- 自分が話すときは基本的に資料を用意している
- 自宅の部屋は静かなので、オフィスにいたときの騒音がない
- エンジニア職で、あまり社外の人と話す機会がない。あっても何度も会っている方がほとんど
- 電話応対することがない
リモートワークとは関係ないですが、最近の勉強会やテックカンファレンスはオンライン開催となり、セッション動画がアーカイブとして公開されていることがほとんどです。今まではセッションで聞き取れなかった部分があったのですが、動画があることで何度でも視聴できるようになりました。またYouTube限定ですが字幕も表示できるのでとても助かっています(特に英語)。
今後できること
本書では、聞き取り力を補助したり高めるための環境作りやトレーニング方法が紹介されています。その中で実践できそうなものを挙げます。
- 字幕ツール。Zoomと連動できるものがないかを調べる
- 聞き取りトレーニング。耳ドリルや耳トレをやってみる
- 体調をととのえる。体調によって聴力が低下し、集中力が落ちる。睡眠大事
- ストレスをなくす。心理的不安があると聞き取り力が低下する
- 今のところ大きなストレスはないけど、あったら周りに相談する
まとめ
本書は、脳のメカニズムについて説明され、なぜ聞き取りづらさを生み出しているのかを解説されています。まだ、後半は聞き取り力を補助したり高めるための環境やトレーニング方法の紹介や、人とどういうかかわりをしていけばいいのかについて書かれています。
もし、私と同じ悩みを抱えているのであれば、本書を読んでみることで実践はしなくとも、「そういうことだったのか!」と納得と安心を得られると思います。