昨日は多種多様に知的好奇心を持つことの重要性について書きました。今日はその続きです。
先日、初代スーパーマリオブラザーズのゲーム音楽を制作した近藤浩治さんのインタビュー記事を読みました。
今年4月にスーパーマリオのBGMがアメリカ議会図書館に収蔵。過去にジョン・レノンのイマジンや、レッド・ツェッペリン、マドンナ、マライア・キャリーなど誰もが知っているような曲がある中、初のゲームBGMとして収蔵されたとのことでした。
スーパーマリオをやったことがない人でも一度は耳にしたことがあるであろうあのBGMがどうやって作られたのかについて、とても興味深く読ませていただいた中で印象に残った部分についていくつかあり、今回はそれを紹介します。
名古屋時代にはどういった音楽に触れてこられてきたのでしょうか?
近藤:エレクトーンの教材としては、ポピュラー音楽全般なので、ラテン音楽や普通のポップスやジャズなど、いろんな曲を練習していました。
伺ったところ、中学時代はバンド活動もされていたと聞きましたが、ロックとかも聞いてらっしゃったんですか?
近藤:中学の頃は結構ハードロックが好きで、中学は「DEEP PURPLE」とかハードロックのコピーバンドをやっていて、高校はフュージョンのコピーバンドをやっていました。
当時は、そういった様々な音楽をどういうところから知ったのでしょうか?
近藤:きっかけは、エレクトーンの教材にジャズの本があって、小学校6年生の頃からジャズを聴いていて、海外から有名なミュージシャンが名古屋に来ると聞いたらコンサートに行ったりしていましたね。小学校6年生のとき、アート・ブレイキーかな?(ライブに)行ったんですけど、他のお客さんでおじさんとかは「なんで小学生がこんなん聞くんや」と話しかけてきてましたけど。
(省略)
小学6年生のときからジャズを触れてきたということで、当時の経験がいまのゲーム音楽づくりに生きている点はありますか?
近藤:ほとんどそのころの記憶がしみついていて、曲に表れているのかなと思っています。大体、作曲方法もエレクトーン教室ですね。グレード試験で作曲が一部ありまして、そのための作曲の仕方というのが今も同じ作り方だなと思います。
幼少期から様々なジャンルの音楽を聞いてきたことで、当時の音楽制作に生きていたということですね。インタビューでは「今までにない音楽を作りたい」とありましたが、無から新規性のある音楽を作るのではなく、今まで体に刻み込まれてきた音楽がベースにあって、近藤さんの中で絶妙なミックスが行われた結果、マリオBGMが誕生したのではないかと思います。
インタビュー後半にもたくさんの曲を聴くことの重要性について語られています。
マリオに限らずですが、ゲームサウンドの世界に入っていきたいと思う人たちに向けて、ゲームサウンドを作るうえで、近藤さんとして大事にしてほしいことはありますか?
近藤:やっぱりたくさん曲を聴いてほしい。 いろんなジャンルがあるので、 民族音楽からクラシック音楽から、どれも好き嫌いなしに、いろんな音楽を聴いて感動していくと、自分の中にそういう体験として蓄えられていくので、自分で作るときに生かせると思います。
これは音楽に関係なく自分の専門性にも活かせそうですね。大量のインプットから良質のアウトプット、量が質に転化する、とよく聞きますが、大量のインプットをしようとしたときに、自分の好き嫌いを排除して、とにかくいろんなジャンルに手をつけていくことで、結果として良質なアウトプットに繋がっていくのではないかと思います。
中には、自分にまったく関係も興味もないもののインプットしていくことから、最近のコスパ・タイパとは真逆のアプローチですね。一見、無駄に思えるようなことかもしれませんが、最終的には自分の専門性を高めることになるのだと学ばせてもらいました。