本日も乙

ただの自己満足な備忘録。

1冊の本を精読するか、大量の本を読み流すか

『「技術書」の読書術 達人が教える選び方・読み方・情報発信&共有のコツとテクニック』という本を読んでいたときに「1冊の本を精読してじっくり取り組むべきか、同じ分野の本を大量に読み流すべきか」について考えていました。

blog.jicoman.info

2年ぐらい前になりますが、GMOペパボ株式会社CTOをされている、あんちぽ(@kentaro)さんが「効率的に新しいことを学ぶ方法」というブログ記事を書かれているのを拝見しました。以下に一部引用します。

さて、さっそくどうやって学ぶかを順番に書いていく。
1. 新しく学びたい領域について、入門書を5冊~10冊ほど買う(技術書なら1万~2万ぐらいか)
2. ひとつひとつを精読するのではなく、ただ文字を追うぐらいの感じでわからないところは読み流しつつ、読み切る
3. 1冊1時間と時間を決めて、必ず時間を守る
4. 本を読んでいる時にコードを書いたりコマンドを実行したりなど、試したりすることはしない。ただ読むだけ
5. それを、買った冊数分(5冊~10冊)くりかえす。そうすれば5時間~10時間、すなわち1日で学習できる
6. 上記により、その領域の入門的な全体像は頭の中に入るので、あとは簡単なタスクについて手を動かしながら、公式ドキュメントなどを読みながら自分で進める

https://kentarokuribayashi.com/journal/2020/07/31/2020-07-31-003804 より一部引用

1冊に対して多くの時間をかけずにたくさん本を読み流すことで、学ぶ分野において全体像をつかめるようになる。全体像をつかんだあとは手を動かしながら学んでいくということです。

『「技術書」の読書術』で紹介されていた「一点突破読書法」では、精読が基本であり、必要に応じてノートにまとめたり、プログラムのサンプルコードがあれば手を動かしてみると書かれていました(ただし、時間がかかる場合は時間を区切ることで集中して学習するという記載もあります)。つまりはあんちぽさんのアプローチとは真逆となります。

さらには「つまみぐい勉強法」というアプローチもあります。書籍『IT業界を楽しく生き抜くための「つまみぐい勉強法」』では、3つほど勉強の対象を決めて、飽きたらその3つの中から順番に選んでスパイラルを描くように次々とスイッチし続けることで継続的に学んでいくというアプローチが紹介されています。

色々なスタンスがあって自分にはどれが合うのか、どれが正しいのか。目的が異なるため、どれも正しいのだと考えが至りました。

何を目的とするのか?

自分が新しい分野や領域について学びたい場合、どこまで学ぶことを目的にするかによって方法が異なります。

入門レベルとして全体像を抑えたいという場合はあんちぽさんの学習方法が最適でしょう。専門として知識を深掘りするのが目的ではなく、その技術や分野がどういうものなのかを一通り自分の頭の中にインストールするのが目的だと思います。学習の5段階レベルに当てはめると 「意識的有能(考えるとできる)」 になれれば良いということです。

「一点突破読書法」では、3年という長い期間をかけて一つの技術や分野について突き詰めていき、専門として大きな成果を出すことを目的としています。入門を抑えただけのにわかレベルではなく、その分野についてあらゆることまでを知り尽くした専門レベルになることがゴールということです。学習の5段階レベルに当てはめると 「無意識的有能(考えなくてもできる)」 もしくは 「無意識的有能に意識的有能(どこからでも教えることができる)」 の段階になるでしょう。

自分が業務や特定の分野で飯を食べていきたいならば、 「無意識的有能(考えなくてもできる)」 にまで持っていく必要があるでしょう。Linuxコマンドを例に出すと、「cdってどういう意味で使うんだっけ?」「vimのカーソル移動ってどのキーだっけ?」といちいち考えながら使うのではとても時間がかかってしまいます。慣れている人ならば普段使っているLinuxコマンドを母国語を話すような感覚で使いこなせているでしょう。そのぐらいのレベルまでいきたいものです。

つまみ食いは悪手か?

「つまみ食い勉強法」は飽きが来ないように対象を入れ替えながら学んでいけるため、勉強が苦手な方には良いアプローチかもしれません。ただ、あまりにも学ぶことが分散しすぎるとせいぜい 「意識的無能(知っていてもできない)」 のレベルにしかならず、知識として頭には入っているけど業務には使うには難しいということになりかねないと思いました。

私のような飽き性かつ色んなことに手を出してしまいがちな人はおそらくいると思います(少なくとも私はそうです)。「二兎を追う者は一兎をも得ず」。まずは一つのことを少なくとも 「意識的有能(考えるとできる)」 に持っていくことを目指し、できたと思ったら次の分野に移っていくほうが結果として自分の糧になっていると思います。