マラソンに熱中していた会社の同僚と話をさせていただく機会がありました。
その方は30代から40代にかけてランニングとマラソンにのめり込んでおり、多い月は1000km以上走っていたそうです。自己ベストはフルマラソンで2時間40分切りというかなりの猛者でした。しかし、月間1000kmを超える練習を重ねてきたことで足に大怪我をしてしまい、「やりきったな」という思いもあり、本格的なマラソンやランニングからは引退して、今はエンジョイランしているとのことでした。
集団のなかで異常性は強化される
その方は本格的にマラソンに取り組んでいた頃、サブスリークラスのクラブチームに所属していました。同じようなレベルの人が集まっているので、異常性のある方がとても多かったそうです。
24時間ひたすらリレー形式で走り続ける「24時間リレーマラソン」で、1位を目指してダッシュで走り続けてリレーをつないでいく、ということもやっていたそうです。
こうした行動は、一人でやろうと思ってもなかなか実行に移せません。そもそもやろうとすら思えません。しかし、同じような思想や思考を持つ人の集まりのなかにいると、自然とその流れになってしまうのだと思います。
人は誰しも、熱中したり夢中になったりするものがあります。それは一定以上の異常性を有することになりますが、一人でやる気を出し続けるのには限界がありますし、一人だけが特筆した異常性を有し続けられるのもかなり限られています。
一人ひとりの異常性は大したことがなくても、集団を形成することで、その意識が同族によって強化されていくのだと思います。ある意味では催眠や集団心理にかかっているといってもいいかもしれません。
良い方向にも悪い方向にも働く
これが良い方向に働けばよいのですが、悪い方向にも働くというリスクがあります。
たとえば、集団で特定の個人や組織に対して攻撃的になり、誹謗中傷や暴力、殺人にまで至ってしまうことがあります。一人だけであればそうした狂気に走ることはないはずですが、集団によって責任が希薄化されたり、匿名化されたりします。そうした理由から集団によって助長され、どんどん凶暴化していくという事例はよく耳にします。
ネット上の誹謗中傷は典型的な例です。
いずれにせよ、コミュニティや集団というのは同じような思考や考えを持つ人が集まりやすいため、考えが極端に偏りがちです。ある意味、集団的な自己洗脳の状態に陥っていきます。
よくありがちなのが部活や体育会系の活動でしょう。私も大学時代は体育会系の部活に属していたのでわかるのですが、外から見るととても非合理的な慣習やルールであっても、その組織のなかにいると当たり前のように見えてしまい、自然と受け入れてしまいます。
宗教も同様です。カルト宗教も、一度入って仲間意識が芽生えると、そこから抜け出しづらくなります。ますます仲間意識を強めていくことで、コミュニティの外から孤立していき、さらにそのコミュニティに依存していくことになります。
逆手に取れば強力な手段になる
悪い面ばかりに注目してしまいましたが、逆手に取れば、これほど強力に能力を発揮できる手段はないとも思っています。
大前研一氏曰く、
自分を変える方法が3つある。時間配分を変えること。住む場所を変えること。そして付き合う人を変えることである。
大前研一、『大前流「自分を変革する」3つの方法』、PRESIDENT Online
https://president.jp/articles/-/17083
環境を変えることが自分を変えることにつながるわけです。
その意味で、コミュニティや組織は自分を変えていくよいきっかけになります。そこにいる人たちが自分の目指したい方向にいる人、目指したい存在であるならば、刺激を受けて、自分がより成長しやすい環境に身を置けるはずです。
今の現状に満足できない、変えていきたいと思ったときには、思い切って環境を変えてみるのも一つの手だと思います。自分が目指したい組織やコミュニティに入ることで意識が一段引き上がり、一人では成し遂げられないような成長を遂げられる場合もあるでしょう。
さいごに
書籍『情熱プログラマー』に「一番の下手くそでいよう」という章があるように、自分自身のパフォーマンスは周りにいる人たちに影響されます。人間は一人だけでは生きていけない生き物で、周辺にいる人たちに影響されやすい生き物です。
同じことをするのであれば、時にはすごい人たちのなかに身を置く。良い影響を与えてくれる人たちと一緒にいたほうが、自分にとっても良い成果を出しやすくなりますし、良いパフォーマンスを発揮しやすくなるのではないでしょうか。
ただ、そうした環境はプレッシャーを感じやすいので、心身ともに疲弊しないようにケアはしっかりしていきたいものです。