本日も乙

ただの自己満足な備忘録。

頭カラッポの方が思考できる

最近『思考の整理学』という本を読んだ。この本にはさまざまな学びがあったが、その一つが「積極的に忘れることを推奨している」という点である。忘れることは、一般に否定的なものとして捉えられがち。私自身も物忘れが多く。誰かと会って話したことや覚えたことも、時間が経つと抜け落ちてしまうことがある。

 
本書では「忘却は不可欠な排泄である」と述べられている。頭をより働かせるためには忘れることが大切であり、忘却を味方につけて努力していこうという考え方である。

頭に知識や情報を詰め込みすぎると、脳が整理しきれず、雑多な情報が堆積したような状態になる。睡眠中に頭の中が整理されるとよく言われるが、本書によれば、現代社会は情報過多であるため、寝るだけでは不十分だという。余計なものを忘れていくことで頭の中が健康になり、空いたスペースで思考しやすくなるのである。

 
人間は何でも忘れてしまうと言われるが、本当に必要なことは覚えているものである。忘れるということは、その情報が少なくとも現時点の自分にとっては重要度が低いことを意味しているのかもしれない。つまり、自分にとって本当に大切な何かは、忘却の観点からも見えてくるのではないだろうか。

 
現代は、AIを使って情報を整理できる一方で、意識すればAIによって際限なくインプットできる時代でもある。その結果、脳内に情報を詰め込みすぎると、考えるための脳内スペースを失ってしまう。コンピュータに例えるなら、メモリを常時使い切っている状態。スペースに空きがないから後から情報を入れたり考えたりできずに、目の前の処理だけで精一杯になってしまうのである。

日常生活なら十分かもしれないが、クリエイティブなことをするには常に余裕をもたせる必要がある。PCやサーバーに例えるなら、常に何かアプリケーションが動いていてメモリがキツキツな状態。マシンであればメモリオーバーしたときにはOOM Killerによってプロセスを強制終了し、システムの安定を保とうとしてくれる。人間はそのようなことをしなくても、忘れることによって脳の情報を取捨選択し、メモリを解放する仕組みが備わっている。それによって、脳を正常に働かせ続けられるのだと思う。

 
一方、意識の上では忘れたつもりでも、無意識の中では考え続けていることがある。入浴や運動中など頭を動かさずに身体が動いているとき、ふと考えがまとまったり、アイデアが浮かんだりすることは多い。忘れていたことをふと思い出したり、アイデアが出てきたりする。表面的には忘れていたとしても、無意識下ではそのことを覚え続けていて、常に頭が忙しい状態になってしまうと、ぼーっとすることもできず、何かを考えつくこと自体が難しくなってしまうのではないだろうか。

 
クリエイティブな仕事に携わる人ほど、常に忙しくインプットしていくのではなく、意識してぼーっとしたり、寝ることで頭の中をクリアにすることが重要だと思う。忘れることを否定的に見るのではなく、思考の余白をつくるために必要だとポジティブに捉えていこう。