本日も乙

ただの自己満足な備忘録。

病後のリアルを想像してみる - 『糖尿病専門医がカイセツ!ドカ食いダイスキ!もちづきさん』を読んだ

『ドカ食いダイスキ! もちづきさん』という漫画をご存じでしょうか。白泉社の「ヤングアニマルZERO」と「ヤングアニマルWeb」で連載中の作品です。主人公の望月さんは21歳の営業事務で、普段はほんわかした女性なのですが、ひとたびスイッチが入ると「ドカ食い」を繰り返し、血糖値が急上昇して“至る”という独特の描写がある漫画です。

ブログで以前紹介しました。

blog.jicoman.info

『次にくるマンガ大賞2024』のWebマンガ部門第8位にランクインしたこともあり、一部の界隈では話題になっている作品です。

 

そんな「もちづきさん」ですが、今年夏のコミケでなんと同人誌が出ました。タイトルは『糖尿病専門医がカイセツ!ドカ食いダイスキ!もちづきさん』。

ecs.toranoana.jp

現役の医師であり、糖尿病専門医と内分泌専門医の資格を持っている、生活習慣病の専門家が漫画のシーンを題材にして「ドカ食いをすると体にどんなリスクがあるのか」を解説するという、かなり本格的な内容となっています。ペンネームではありますが、生活習慣病の専門家ということもあって説得力があります。

コミケには行けませんでしたが気になったのでネットで購入。読んでみたのですが、一般の読者でも理解できるように「ドカ食いすると体にどういう変化が起きるのか」が丁寧に語られていました。

塩分の摂りすぎるとどうなるか

最近は摂取カロリーとPFCバランスを意識した食事を摂るようにしているので、おおよそ部分は「まあ、そうだよね」で流せるのですが、気になったのが塩分の話。

塩分の濃いものを食べると、血中の塩分濃度が上昇し、血液を薄めようとする働きが起きます。血液中の水分量が増えるため血液量が増加します。血液量が増えると血管にかかる圧力が高くなり、血圧が上昇します。これが高血圧のメカニズムです。

WHO(世界保健機構)では、1日の塩分摂取量を5g未満にすることを推奨していますが、日本人は食生活で塩分が含まれる食べ物が多いことから、平均的な塩分摂取量は約10gとされています。そこで日本独自の塩分摂取基準として、1日の塩分摂取量を男性7.5g未満、女性6.5g未満にすることを推奨しています。

また、一気に大量の塩分を取ると、脳細胞にまで影響を及ぼして死に至るらしいです。
昔、芸人の江頭2:50さんが塩を大量に食べて意識を失って救急搬送されたことがありましたが、あれは冗談ではなく本当に命の危険があったわけですね。

「あすけん」で日々の塩分量を見ると、おおよそ10g前後でした。これだと高血圧のリスクが高まるわけですね。
血圧とかは今まで正常値だったので、塩分はあまり意識してこなかったのですが、この章を読んでからは塩分をかなり意識するようになりました。少なくともラーメンの汁をすべて飲むのをやめましたw

ENDパターンのリアル

特に印象に残ったのは後半部分。もちづきさんがこのままの食生活を迎えた先の予想(ENDパターン)が紹介されているのですが、これがとても生々しくてリアルです。

書店で売られている健康本だと「こんな病気になるリスクがありますよ」といった一般論が多いですが、本書は同人誌かつペンネームで所属を明らかにしていないため、忖度なくリアルな内容が書かれています。

最もショッキングだったのが、退院した後の日常生活。高次機能障害といった介護や看護が必要な場合は、自治体に申請することで医療制度や福祉制度などの支援を受けることができます。65歳以上の高齢者であれば老人ホームや介護施設への入所ができますが、40〜64歳は特定疾患がないと受けられず、入所ができないそうです。しかし、脳出血などの重症は30〜40代でも発症することがあります。そうなったら、家族の24時間体制のサポートが必須になります。そうなると本人も家族も心身ともに疲弊していくことになり、不幸な結末を迎えることになります。
今までは病気になる前、なった直後のことしか考えられていませんでしたが、退院してからが本番というわけですね。

単に「体を壊す」という抽象的な話ではなく、病状が進んだときにどういうことが起きるのか、どのように死に至ることがあるのかといった記述もありました。炎症や合併症のリスクが続き、そこに至るまでの過程が淡々と描かれている。読んでいて背筋が寒くなるような感覚を覚えました。けれど同時に「これは本物の知見だ」とも感じました。

まとめ

今回の一番の気づきは、「リアルな病気の後半戦」を垣間見られたことです。一般的な書籍では想像できなかった部分を、同人誌という自由な場だからこそ赤裸々に描けている。だからこそ、自分の体を大事にしようという気持ちが強く芽生えました。健康って当たり前のように思ってしまうけれど、改めて大切にしないといけないと実感しました。

本同人誌は書籍なみの値段ですが、長生きをしたい、健康な日々を過ごしたい人はぜひ一読をしてほしいですね。
『ドカ食いダイスキ! もちづきさん』を読まなくても差し支えありませんが、読んでからの方がより理解が深まると思います。