メルペイが主催しているGopher道場の課外学習としてDDD(ドメイン駆動設計)の勉強会があったので参加してきました。
Gopher道場については過去記事をご覧ください。
会場に着くとお酒と美味しい軽食が用意されていたので軽く腹ごしらえ。
Gopher道場卒業生のために作られたTシャツを受け取ることができました!
妻からも可愛い!と好評でした。
講師は @pospome 氏です。
DDDの意味を知る
- DDD = ドメイン駆動設計 = 業務駆動開発
- ドメインってなに?
- ドメイン = 問題領域 = ソフトウェアを適用させる業務や関心事
- 業務にソフトウェアを適用する
- なぜソフトウェアを適用するのか
- 既存の業務に何かしらの問題があるから
- => 問題領域 = ドメイン = 業務
- 関心事 = 業務ではないけど何かしらの問題領域
- e.g. Twitter 140文字でつぶやく
DDDのメリット
- DDDは既存で抱えていた問題を解決するためのアプローチ
- e.g. nginxはApacheで抱えていた問題(c10kなど)を解決する
DOA = データ中心アプローチ = 既存の業務アプローチ
- 業務で扱うデータ全体をERモデルによってモデル化、正規化して設計する
- DB中心
- DBの特性と目的に合わせたデータ設計になる
- RDB => リレーショナル
- NoSQL
- 目的: Read/Writeのワークロード
プログラミング的に最適なデータ構造とは限らない
- 業務上、存在する概念をコード上で扱えない
- モデルのコード構造
- 例: UserAccount
- ユーザのプロフィール変更するときに何が変更対象なのかがわからない
- 更新対象を分けることで明確化する(UserProfile)が、1対1となるテーブルを用意するのか
- 例: Boss
- 大ボスのみAttackできるようにする
- ifによる条件分岐だと可読性が落ちる
- BigBoss, MiddleBossでモデルを分けると明確になる
- BigBossテーブル, MiddleBossテーブルが必要になってしまう
- 大ボスのみAttackできるようにする
- DOA自体は問題ではなく、DOAによって設計したデータ構造をそのままプログラミングで扱うのが問題
可読性を下げる根本的原因 = 業務とコードの乖離
- 両方理解しないとだが、理解するのは辛い
- e.g. type, status, flg という謎のカラム
- 両方理解しないとだが、理解するのは辛い
DDDはこれを解決する
- プログラミングには、プログラミングに適したデータ構造を利用する
- DBには、DBに適したデータ構造
- 業務を反映したデータ構造 + 振る舞い
- メソッドや関数も業務に対応している
- 業務を理解すれば、コードも理解できる状態になる
- 実装詳細に踏み込みやすくなる
- DDDの目的 = 可読性をあげること
何をすればDDDになるのか
- 具体的にどうやるの?
- 分析
- 業務をコードに落とし込むために分析
- 設計
- 分析結果をコードに落とし込むための設計
- 実装
- 成果物 = コード
- 分析・設計・実装のどれか一つでも欠けるとDDDにならない
- 業務を分析しないで実装だけ(レイヤ構造とかリポジトリパターンとか)をやってもDDDにならない
- 分析・設計・実装のスケールが大きすぎて、具体的にに説明するのが困難。分かりづらい。DDD本はもっと分厚くならないと
DDDのデメリット
- 学習コスト
- 分析コスト
- 実際可読性があがるかわからない
- 失敗すると可読性があがらない
- パフォーマンスが上がるとかではないのですすめづらい
- 半年〜1年とか開発をすすめていって実感してくる。即時性は低い
- モデルとDBのデータ構造が異なる
難易度が高い
DDDで解決できないこと
- 業務が複雑であると、コードも複雑になる
- 実装者の設計スキルが低いと、可読性が落ちる
DDDの必要性
- 単純な仕様や保守が不要であるものは適さない
- じゃんけんなど
- 単一のCRUDのみ
まとめ
- ドメインで設計を駆動しているかを意識する
- Next: DDD本と現実のギャップを知る
- エリック・エヴァンスはWeb開発者ではない
- DDD本は誰かがやってきた業務(エンタープライズ?)をドメイン駆動にしたもの。自社サービスと異なる
- DDD本を真に受けない
- エリック・エヴァンスはWeb開発者ではない
GoとDDDの相性
GoでDDDは可能なのか
- DDDは言語にあまり縛られないので可能
GoとDDDの相性は良いのか
- DDD本にあるJavaと比べてGoはどうか
- ORM問題
- マッピング問題を解決できるか
- GoはORMで柔軟に対応が難しい
- Javaは柔軟に対応しやすい。Java特有なのでは?
- アノテーションベースのAOP
- Goにアノテーションがない
- 情報量
- Goで実践している人が少ない
- 困ったときに聞ける人が少ない
FAQ
- Q メルカリ・メリペイでDDDやっているか
- A やっていないと思う
- 立ち上げが大事なのでWeb企業で導入が難しい
- Q マイクロサービスと相性が良いか
- A 要件によるが、小さくすると相性が良くなる
- Q DDDを導入するにあたり、実装する人全員がDDDをよく知っていないと駄目か
- A 少人数なら可能。分析者・設計者に依存するため、大人数だとスケールしない
- Q 良い設計にするためには
- A 業務をよく知ること。業務を知らないと実装できない
- たくさん書いてたくさん失敗する
終わった後は懇親会
Gopher道場を一緒に卒業した人と久しぶりに会って話せました。コミュニティって良いですね。
最後に
DDDは エリック・エヴァンスのドメイン駆動設計 を途中まで読んで挫折したので、改めて何のためにDDDをやるのか?メリット・デメリットを聞けました。メルカリ・メルペイがDDDをやっていないのが意外でした。DDDはかなりハードルが高いですな。
課外学習第二弾はGCPとのことで次回も楽しみです。
エリック・エヴァンスのドメイン駆動設計
posted with amazlet at 18.10.03
翔泳社 (2013-11-20)
売り上げランキング: 1,320
売り上げランキング: 1,320